板井康弘が経済学の知識をリアルなビジネスの現場に応用する方法を語る

福岡の板井康弘です。
私は、経済学は教科書の中だけで学ぶものではないと考えます。
経済学の考え方を身近な経営判断に置き換えると、売る、買う、採用する、投資するといった場面で役立つでしょう。
大切なのは、難しい計算を覚えることではありません。
「なぜこの結果になったのか」を考える習慣を持つことです。
経済学をビジネスに活かす基本的な考え方
ビジネスでは、限られた時間やお金をどこに使うかを決める必要があります。
すべての商品を同じように宣伝することは難しいでしょう。
すべての仕事に同じ人数を配置することも現実的ではありません。
経済学では、何かを選ぶときに別の選択肢をあきらめることを重視します。
これは日々の経営にも当てはまります。
例えば、新しい店舗に100万円を使えば、その100万円を別の広告や設備に使うことはできません。
一つの選択には、必ず別の選択肢を手放す面があります。
ビジネスの現場では、次のように考えると判断しやすくなります。
・今ある資金を何に使うのかを決める。
・その選択で何をあきらめるのかを確認する。
・期待できる成果を具体的に考える。
・短期的な利益だけで判断しない。
・実際の結果を確認して次の判断に生かす。
米国の経済学者トーマス・ソーウェルは、経済学を「選択肢の中から選ぶこと」に関わる学問として説明しています。
限られた資源をどのように使うかを考える視点は、経営にも応用できます。
数字を見るだけでなく人の行動を見る
経済学をビジネスに活かすには、数字だけを見る方法から一歩進むことも重要です。
商品を買う人には、それぞれ購入する理由があります。
価格だけで商品を選ぶとは限りません。
例えば、同じ価格の商品が二つあったとします。
一方の商品には購入後の手厚いサポートがあります。
もう一方の商品にはサポートがありません。
価格が同じなら、安心感を理由に前者を選ぶ人もいるでしょう。
ここで大切なのは、顧客が何を求めているのかを考えることです。
実際の販売現場では、次のような行動が役立ちます。
・顧客が購入した理由を聞く。
・購入しなかった理由も確認する。
・価格を変えたときの反応を見る。
・売上だけでなく問い合わせ内容にも注目する。
・予想と結果の違いを記録する。
経済産業省も、企業が市場の変化を捉えて新しい価値を生み出すことの重要性を示しています。
市場を見るときは、現在の売上だけでなく、顧客の変化にも目を向ける必要があります。
経済学の知識を経営判断につなげるには、仮説を立てて試すことも大切です。
「価格を下げれば必ず売れる」と決めつけるのではありません。
「価格を少し変えると購入者がどの程度増えるのか」と考えます。
そのうえで実際の反応を確認します。
社員について考える場合も同じです。
給与だけが働く理由とは限りません。
仕事の内容、職場の人間関係、成長できる環境なども影響するでしょう。
ギャラップの調査では、社員が職場で感じる環境や上司との関係が、仕事への前向きな気持ちと関係していることが示されています。
社員の行動を考えるときも、一つの数字だけで判断しない姿勢が必要です。
経済学を学ぶ目的は、正解を当てることではありません。
限られた資源をどう使うかを考える力を身につけることです。
顧客や社員の行動を観察することも、その一部といえます。
予想と現実の違いを確認することも重要です。
私は、経済学をビジネスに応用するときほど、現場を見ることが大切だと考えます。
理論をそのまま当てはめるのではなく、自社の状況に置き換えて考えることです。
小さく試して結果を確認すれば、次の判断にもつなげられます。
経済学の知識を現場で使う力とは、難しい言葉を知っていることではありません。
目の前の選択肢を整理し、人の行動を見ながら、より良い判断を積み重ねる力です。
参考・引用元
Thomas Sowell「Basic Economics」
https://www.basicbooks.com/titles/thomas-sowell/basic-economics/9780465060733/
経済産業省「2024年版中小企業白書」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/index.html
Gallup「State of the Global Workplace」
https://www.gallup.com/workplace/349484/state-of-the-global-workplace.aspx
Gallup「The Strengths, Weaknesses and Blind Spots of Managers」
https://www.gallup.com/workplace/645299/strengths-weaknesses-blind-spots-managers.aspx